Cassandraは、高可用性と水平スケーラビリティを重視するNoSQLデータベースとして、金融機関や大規模システムにおいて広く採用されている。Bloombergのような大規模な企業では、データの信頼性と復舊性が業務継続性に直結するため、バックアップとリストアの設計は不可欠である。本記事では、Cassandraにおけるバックアップ課題と、Spotifyが開発したMedusaというツールを用いた解決策を解説し、実踐的な導入方法を紹介する。
Cassandraは、分散型のカラムストアデータベースであり、高可用性と耐障害性を実現するための設計が特徴である。しかし、データの破損や人為的な誤操作、インフラの障害などにより、データの喪失リスクは常に存在する。特に、金融機関では監査や規制の観點から、データの完全なバックアップと迅速な復舊が求められる。
Cassandraにはnodetool snapshot
やauto snapshot
といった內蔵のバックアップ機能が存在するが、これらは単純なSSTableのハードリンクを生成するにとどまり、動的なクラスタ構成や遠隔ストレージとの統合が困難である。また、復舊プロセスは手動で行う必要があり、コストと手間がかかるという課題があった。
Medusaは、Spotifyが開発したCassandra専用のバックアップツールであり、以下の特徴を持つ。
CassandraはDockerコンテナで実行され、Container AgentとMedusa CLIがSidecarコンテナとして動作する。メタデータサービスを介してクラスタの構成情報を取得し、バックアップと復舊プロセスを自動化する。
nodetool snapshot
を実行し、SSTableファイルを生成。差分バックアップでは、各バックアップに獨立したManifestを含め、重複するSSTableファイルを1つにまとめることで、ストレージコストとネットワーク負荷を削減。
MedusaのPurge機能は、指定された數のバックアップまたは時間間隔に基づき、不要なデータを自動的に削除。これにより、ストレージの過剰な使用を防ぎ、データの整合性を保つ。
差分バックアップにより、重複するSSTableファイルを削減し、S3などの低コストストレージを活用することで、全體的なコストを削減。
Medusaは、Cassandraのバックアップとリストアにおける自動化、可観測性、コスト効率を向上させるための強力なツールである。動的なクラスタ環境に適応し、遠隔ストレージとの統合により、大規模な企業での採用が可能である。導入時には、保留ポリシーの設定や復舊プロセスのテストを徹底し、信頼性の高い運用を実現する必要がある。