はじめに
Cortexは、Prometheusの長期ストレージソリューションとして設計された、高スケーラビリティと多テナントサポートを備えたオープンソースプロジェクトです。この記事では、Cortexのアーキテクチャ、主要な機能、最新のアップデート、およびCNCF(Cloud Native Computing Foundation)における位置付けを解説します。読者には、Cortexの実裝方法や技術的利點を理解するための知識を提供します。
技術的特徴と機能
Cortexの定義と基本概念
Cortexは、Prometheusのメトリクスデータを長期保存するための高度なソリューションです。水平スケーリングと高可用性を実現し、Amazon S3、Google Cloud Storage、Azure Storage、OpenStack Swiftなどのオブジェクトストレージをサポートしています。この設計により、大規模な監視環境での運用が可能になります。
主要な特徴
- 高スケーラビリティ: マルチテナント環境での柔軟な拡張性を提供。
- オブジェクトストレージ統合: 多様なクラウドストレージとの連攜が可能。
- 高可用性設計: DistributorとRulerの主従アーキテクチャにより、障害時の自動復舊を実現。
- パフォーマンス最適化: プッシュワーカーとポスティングキャッシュの導入により、CPU使用率を20%削減。
- OTLP互換性: OpenTelemetryのデータを効率的に処理し、メモリ問題を防止。
新機能とアップデート
バージョン119の主な改善點:
- Rulerの高可用性: 主実例が異常時に非主実例が自動的に評価を引き継ぎ、可用性を向上。
- OTLP互換性の強化: メモリ制限の導入とカスタムラベルのサポートにより、柔軟な構成が可能。
- パフォーマンス改善: プッシュワーカーとポスティングキャッシュの導入により、CPU使用率を20%削減。
路線図と今後の方向性
- CNCFの標準化: CortexはCNCFのプロジェクトとして、標準化の進捗を推進。
- 自動スケーリング: データ量に応じてIngesttorのレプリカ數を動的に調整。
- プロトコルの拡張: OTLPプロトコルの互換性をさらに強化し、新規フォーマットへの対応を検討。
技術的詳細
高可用性と拡張性
- 主従アーキテクチャ: DistributorとRulerは主従構成で運用され、Ingesttorは読み取り専用モードでの拡張が可能。
- マイクロサービス設計: 各コンポーネントが獨立してスケーリング可能。
- ブロック圧縮: オブジェクトストレージとの統合により、長期保存の効率を向上。
パフォーマンス指標
- キャッシュ最適化: ポスティングキャッシュの改善により、複雑なクエリのCPU負荷を軽減。
- 実験的機能: プッシュワーカーの導入により、CPU使用率を20%削減。
今後の課題と注意點
- 動的な設定調整: 速度制限やテナント設定はサービス再起動なしに変更可能。
- 自動スケーリングの監視: メトリクスとポリシーの組み合わせで運用を最適化。
- 高可用性の実裝: 可用性ゾーンでのデプロイとフェールオーバー機構の整備が必須。
結論
Cortexは、Prometheusの長期ストレージとしての信頼性と柔軟性を備えた強力なソリューションです。高スケーラビリティと高可用性により、大規模な監視環境での運用が可能になります。今後の進展として、CNCFの標準化とOTLPプロトコルのさらなる改善が期待されます。技術的な導入には、コミュニティの貢獻とGitHubプロジェクトの活用が重要です。